フィンランドでベーシックインカムの導入に向けた検証実験が行われたけど、効果はあったの?実験結果はどうだったの?
このような疑問を持つ方に対して記事を書きました。
- フィンランドのベーシックインカムの導入が議論される背景
- フィンランドのベーシックインカム導入実験について
- フィンランドのベーシックインカム導入実験の結果
収入や性別に関係なく、国民全員に無条件でお金を給付するわけですから誰しもが思う疑問ですよね。
AIの将来的な普及により雇用が奪われると言われるなかで、実は、多くの国では既にベーシックインカムの導入に向けた検証を行っています。
その国の一つであるフィンランドは、2017年1月から雇用保険を受給している2000人を対象に、欧州で初めてベーシックインカムを実験的に導入しました。
しかし、新しい制度を検討することを理由に実験の継続を断念、当初の予定より1年早く2018年12月で実験を終了しました。このフィンランドでの導入実験は、ベーシックインカムの効果を検証するため実施したものですが、失敗してしまったのでしょうか?
自分は、10年以上前に大学で公共政策を学びましたが、当時から新しい雇用対策の一つとしてベーシックインカムが注目されていました。その時の経験を踏まえ、記事を書いています。
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目次
フィンランドでベーシックインカムの導入が議論される背景とは?
フィンランドの国内事情
高福祉国家のイメージが強い北欧のフィンランドですが、経済的には低迷が続いています。
実はフィンランドは失業率が7%を超え、かつ欧州諸国の中でも最も成長性が低い国家のひとつです。
高福祉で手厚い現金給付制度が存在する中、社会保障や教育への財政削減が求められています。
そのような状況の中、行政の効率化や就業意欲向上に資すると言われる、ベーシックインカムへの期待が強くなったという背景があります。
事前のベーシックインカムに対する意識調査
導入実験の前に実施された調査では、大部分のフィンランド国民がベーシックインカムの導入に賛成しています。
2015年に実施されフィンランドの国民年金機構Kelaが実施した調査によると、69%の国民が導入に賛成しています。
労働者層や年金生活者の期待が高いのは当然ですが、実は企業の経営者も導入に対する支持が高くなってるんですね。
経営者の立場からするとグローバルに競争が進む中、労働者の賃金水準を下げ、経営状態に即応して雇用・解雇を柔軟に行える達成する手段として、ベーシックインカムは優れた手段っていうことなんだよね。
なので、既得権のある公務員や労働組合で反対する人が多いのです。
ベーシックインカム給付額の議論
2015年に国民年金機構Kelaが実施した調査では、フィンランドの最低年金支給額の1.4倍にあたる1,000ユーロが適当だとする回答者が最も多かったそうです。
Kela自身も、失業諸手当を破棄し、なおかつ就労インセンティブを保持するためには、最低1,000ユーロの支給が必要だと分析しています。
他方、有力な財源と考えられる所得税率を合わせて、望ましい月額について尋ねると、
- 税率40%で月額500ユーロ ⇒ 支持率35%
- 税率55%で月額800ユーロ ⇒ 支持率29%
と支持率は著しく下落しているんですよね。税金は払いたくないけど、支給は受けたいってことだよね。
フィンランドのベーシックインカム導入実験について
ベーシックインカムについては各国で検討されておりますが、最も大規模な導入実験を行ったのがフィンランドです。
ベーシックインカム導入実験はどのようなものだったのか?
この導入試験は、2017年1月~2018年12月の2年間にわたり実施され、失業保険を受けとっている25~58歳の2000人を対象に、日本円で約7万円(560ユーロ)を支給したものです。
性別では男性52%、女性48%、年齢別では25~34歳30%、35~44歳30%、45~58歳40%を選びました。
このベーシックインカムは非課税で、再就職しても継続して給付されます。
導入実験の目的
この導入実験は、
- 労働の変化に応じた社会保障システムの再設計
- 就労する意欲を高めるように社会保障システムを刷新
- 社会保障制度を担う複雑な官僚システムの簡素化
について検証することを目的に実施されました。
従来通りに給付・補助金を受給し続けているグループ(比較グループ)して、ベーシックインカム受給しているグループ(受給グループ)の求職行動などにどのような影響を及ぼすか検証が行われました。
フィンランドのベーシックインカム導入実験の結果
2019年2月にフィンランドの実施機関から暫定的な結果が公表されました。
この結果は、2017年に実施された1年間の成果について検証されたもので、
- 雇用促進の効果は確認できなかった
- ベーシックインカムを受けとっているグループの方が、健康状態が良い、ストレスが低いと答える者の割合が高い
- 家計状況や他人への信頼度は改善
との結果になりました。結論から言うと、ベーシックインカムは受給者の幸福度を増すことはできても、就労意欲を高めることは難しいようです。
分析①:ベーシックインカムの雇用促進効果
ベーシックインカムを受給しているグループとそうでないグループで2017年に働いた日数を比較したところ、
- 受給グループ:49.6日
- 比較グループ:49.3日
となりました。受給グループの方が0.3日増えてますが、まあ誤差の範囲内ですよね。
実験を実施したKelaも、期待していた雇用の促進効果は見られなかったとしています。
分析②:ベーシックインカムの幸福度への寄与
健康状態について「良好」また「非常に良好」と回答した比率は、
- 受給グループ:55%
- 比較グループ:46%
となりました。また、ストレスが「非常に強い」と感じている比率が、
- 受給グループ:17%
- 比較グループ:25%
となっています。なので、健康状態やストレスという点から見ると、明らかにベーシックインカムを受給しているグループの方が良い結果がでているということ。
Kelaもベーシックインカムの給付が、幸福度に改善に寄与しているとしています。
出所:フィンランド国民年金機構(Kela)
分析③:ベーシックインカムの家計や他人への信頼への影響
家計の状況について比較したところ、「困難」又は「非常に困難」答えた割合が、
- 受給グループ:39%
- 比較グループ:49%
となっています。また、他人の信頼度について10点満点で回答を求めたところ、
- 受給グループ:6.8ポイント
- 比較グループ:6.3ポイント
となりました。家計状況については、ベーシックインカムが受給された方が、明らかに改善するという結果ですね。
Kelaも家計にへのストレスが少なくなるとしています。
出所:Kela
結論:フィンランドのベーシックインカム実験
以上が、フィンランドで実施された導入実験の結果です。
暫定的な結論としては、最も期待されていた勤労意欲の改善への効果がなく、幸福度や家計には一定の改善が見られたということ。
成果があったかと言えば、ちょっと微妙な感じですよね。1年前倒しで導入実験が終了したのも、正直言って成果が乏しかったことも理由の一つかと思います。
ただ、この実験は人数も限定的で、就労意欲や幸福度みたいなものの検証には成果はあったけど、給付水準とか財源といった大きい問題に踏み込んでいません。
ベーシックインカムの導入には、更なる検証を積み重ねる必要があるということだと思います。
なお、Kelaでは、引き続き、他の専門機関とも連携して評価を行い、順次、追加結果の公表を予定しているとのことです。
自分の力で”ベーシックインカム”を
ベーシックインカム導入に向けた実験や議論は始まったばかりであり、本格的な導入はまだまだ先になりそうです。
フィンランドの実験結果を見ると、規模が小さかったことも要因の一つかもしれませんが、雇用の促進や幸福度への寄与の面では効果は限定的。
将来的にはAIやロボットなどが人間の雇用を奪うと指摘する専門家も多く、ベーシックインカムの導入の議論は今後も続きそうですが、
- 財政的に導入の難易度が高い
- 国民の理解には時間がかかる
ことから、ベーシックインカムの導入はまだまだ先の話と言えそうです。
当面はベーシックインカムを期待せず、資産運用を淡々と進めるなどして自分で将来的なインカムを増やしていくことが現実的と考えます。
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参考文献:
- 中原聡志(2018)「社会保障におけるベーシック・インカムの重要性」香川大学 経済政策研究 第14号
- 徳丸宜穂(2017)「フィンランドにおけるベーシックインカム社会実験:ベーシックインカムの射程に関する予備的考察」名古屋工業大学
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