水ETF PIOの特徴や構成銘柄、配当推移について知りたいです。
高配当ETFやS&P500に連動するETFもありますが、これらに比べて水ETF PIOに投資するメリットは何ですか?配当実績についても知りたいです。
今回は、このような疑問を持つ方にむけて記事を書いています。
- PIO:株価の基本データと特徴は?
- PIOの構成銘柄とセクター比率は?
- PIOのチャートとリターンは?
- PIOの配当実績と増配率は?
2021年の半導体不足の要因となった水不足。飲料水などの生活用水、作物の栽培に必要な農業用水だけじゃなく、近年では産業用水としても急激に需要が増大しています。
そんな、水道インフラ整備や水浄化システム提供などの水ビジネスを展開する企業にマルっと投資できる水ETFが今回紹介するPIOで、近年注目が高まっています。
日本では綺麗な水が蛇口をひねると簡単に得ることができますが、世界的に22億人もの人が綺麗な水が利用できない状況です。
しかも世界的な人口増加などを考えると水需要が今後爆発的に増大することは間違いありません。
今回は、そんな”水”に関する事業に投資できる水ETF PIOについて特徴や過去のパフォーマンスを紹介していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
自分は、20年以上投資を続けていて米国ETFも保有しています。今回は、この経験も踏まえ記事を書きました。
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目次
水ETFが注目される理由とは?
水ビジネスに投資する”水ETF”が注目される背景には、人口増加により水の需要は拡大することは間違いない状況であり、かつ、世界的に水が将来的に不足することがほぼ確実だからです。
水不足は将来的に深刻化
日本では蛇口をひねれば、当たり前のように綺麗な水を得ることができますが、世界では水不足が深刻な地域も多く、ユニセフによると2017年の段階ですら22億人が安全な飲み水を得られていないとのデータもあります。
OECDの調査によると、2050年には2000年に比べて水需要が55%増えることが見込まれています。国連では、何も対策をしなければ2030年ごろには水資源量は必要量に対して40%も不足すると推計しています。
これまで飲水や下水などの生活用水や作物の栽培に必要となる農業用水が中心でしたが、近年では、工業や発電への水需要が増大。
一例をあげると半導体の製造には純度の高い大量の水が必要なこともあり、また発電にも大量の水が必要で、経済の発展にともなって、これらの工業用水の需要も年々高まっています。
2021年に世界的な半導体不足におちいりましたが、その要因は台湾における水不足で半導体製造に支障が出たことが要因でした。
水ビジネスの市場規模は年々拡大
水不足対策は世界的に大きな課題になる中、世界の水ビジネスの市場規模は年々拡大しています。
民間の調査会社によると2019年の72兆円、2025年に84兆円、そして2030年には117兆円へと拡大することが予想されているんですね。
出典:SMBC日興証券作成
投資家の間でも、水への関心は徐々に高まっていて、2020年には「シカゴ・マーカンタイル先物取引所(CME)」で「水先物」の取引も開始されています。
この先物は、農家や企業が米国カリフォルニア州で売買されている水の使用権価格に連動していて、価格は上昇しています。
さらに、水関連の事業を行う世界の主要50社から構成された株価指数「S&P Global Water Index」は右肩上がりで上昇するなど、水ビジネスに対する将来性への期待は非常に高くなっているんですね。
このように水需要が増大することが確実視されている中、水ビジネスを行う企業への注目が高まっています。
水ETF PIO:株価の基本データは?
PIOはインベスコ・グローバル・ウォーターETF(Invesco Global Water)という名称で、米国の資産運用会社最大手の一つインベスコ社が運用するETF。水ビジネスを実施している企業50社で構成されています。
早速ですが、水ETF PIOの株価データを見ていきましょう(2023年11月現在)。
- インデックス:ナスダックOEXグローバル水指数
- 株価(52週) :31.30 〜 37.49ドル
- 経 費 率 : 0.75%
- 分配金利回り : 0.92%
- 配 当 実 績 : 0.32ドル
- 組 入 銘 柄 数 : 約50銘柄
手数料が0.75%とVTIやVOOの0.03%に比べてかなり高くなっていますね。コスト的に長期保有を躊躇してしまう水準です。
ただ世界各国の水ビジネスを展開する企業に投資するのはハードルは高いことや将来性を考えると妥当な水準といえるかもです。
PIOは水ビジネスを展開する企業にまるっと投資できるETFですが、米国の情報技術やヘルスケア産業に1本で投資できるタイプのものも人気があります。
特徴や魅力についてまとめていますので、ぜひご覧ください。
水ETF PIOの構成銘柄とセクター比率は?
ここでは水ETF PIOの
- 構成銘柄と構成比率
- セクター比率
- 構成国の比率
を見ていきましょう。
PIOの構成銘柄
構成銘柄上位10社(2022年11月18日現在)は以下の表のとおりです。
Top10に入っている企業は、やはり水ビジネスを展開している企業ということで、ほとんど聞いたことのない銘柄ばかりですね。
構成比率3位のペンテア(Pentair Public Limited Co)は、家庭や産業、自治体、農業分野飲料水や水質管理といったサービスを提供している企業です。
提供されるサービスの中には、プールやスパ用バルブや水野フィルターの販売や、ろ過システム、水圧制御システムなどがあります。
構成比率8位に入っているアメリカン・ウォーター・ワークス(American Water Works C)は、北米最大の上下水道企業。複数の州に排水サービスや水道関連施設の管理や運営、水道水などの提供など水インフラ・サービスを提供しています。
住宅や企業に対する給水だけではなく、自治体の公共事業にもサービスを提供しています。
なお資産総額に占める上位10社の割合は約60%程度となっていて、構成銘柄が少ないこともあり、比率が高くなっています。
PIOのセクター比率
続いてセクター比率です。
産業セクターの比率がトップになっていますが、水ビジネスということもあり公共サービスセクターの比率も高くなっています。
構成国の比率
次に地域構成と構成国の比率を見ていきましょう
やはり米国企業の比率が50%を超えています。
一方、国別の構成を見ると日本が構成比率7%を超えています。日本企業の一例を挙げるとTOTOの構成比率が2%程度を占めています。
参考URL:インベスコ社公式HP
PIOのチャートとリターンは?
ここでは水ETF PIOの
- 株価推移(チャート)
- 年率リターン
を見ていきましょう。
長期チャート
以下はPIOの10年チャートです(2022年11月18日現在)。比較のためにS&P500も載せています。
赤:PIO 水色:S&P500
このチャートを見てしまうと、過去10年は水ビジネスよりもS&P500の方がパフォーマンスが高かったことがわかります。
S&P500がプラス130%近いにもかかわらずPIOは約66%。配当金を入れればもう少しマシになるレベルですかね。
パフォーマンス比較では、短期チャートを見ても変わらないですね。
赤: PIO 水色:S&P500
将来的な水需要が高いことは間違いありませんが、GAFAMのような成長力のある巨大ハイテク企業が含まれていないこともあり、パフォーマンスはS&P500よりも劣る状況です。
PIOのリターン
PIOの分配金も含めたトータルリターン(2022年9月30日現在)は以下のとおりです。
22年は世界的な株式市場の調整局面ということもあり、短期のリターンはかなり悪化しています。
直近5年の長期リターンだと年率約4%超えとまずまずの結果といえますね。
水ETF PIOのこれまでの配当実績と増配率は?
VEAは他の多くのETFと同様に四半期に一度分配金が分配されます。分配金実績は以下のとおり。
配当金は、コロナショックのあった2020年は大幅に落ち込んでいますが、この時期以外は基本的には横ばい傾向といえますね。
PIOの配当も期待できますが、米国株の魅力は連続増配銘柄が多いことですね。個別銘柄の中にも素晴らしい銘柄が米国にはたくさんあります。
以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
PIOへの投資:ちょっとだけ考察
投資先としてPIOを考えた時に、ちょっと引っかかってしまうのは
・水需要増大も成長力はイマイチ
・日本企業の比率が7%以上
・コストが高い
ということ。
水需要が今後増大することは確実ですが、S&P500よりもパフォーマンスが劣っており、水ビジネスはITのような成長力のある事業やAIなどのイノベーションが期待できる産業ではないということです。
さらに水ETF PIOは日本の比率が高い。わざわざドル転してETFの形で日本企業に投資する意味があるのかどうか。さらに経費率が0.75%と高いこともデメリットです。
なのでパフォーマンスとして悪くないPIOですが、投資のコアとしては使えないですね。
ただ将来的に水需要が増大することは間違い無いので、水ビジネスを展開する企業の業績工場は今後も期待できると思います。
なので水ビジネスがITやAIなどの情報技術やヘルスケアなどのセクターよりも、成長が期待できると考える方にとっては、検討に値するETFだと考えます。
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「水ETF PIOの株価」まとめ
今回は、水ETF PIOの株価とチャートということで、その特徴と株価の推移(チャート)、配当金の推移等について見てきました。
PIOの特徴をまとめると、
・水ビジネスを展開する企業にマルっと投資
・過去5年間で年率4%超えのリターン
・経費率0.75%と高コスト
ということですね。
水需要の増大は将来的に確実ということもあり、世界的に水ビジネスの成長は今後もかなり期待できることは間違いありません。
が、やっぱり情報技術やヘルスケア、AIなどの事業と比較してしまうと成長性に物足りなさを感じてしまいます。S&P500よりも長期的にパフォーマンスが劣っている点も気になるところです。
なので PIOは投資のコアとしてではなく、サテライト的に活用してセクターの分散を図る目的や、他のセクターよりも水ビジネスの将来性が高いと考える方には適したETFと言えそうです。
最後に米国ETFや米国株に賢く投資するための方法について紹介しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
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